2時間にわたる鑑賞を終えた児童たちの顔からは、充実感と新しい見方を獲得した喜びで一杯の笑顔であった。終了後に図書館で行われた全体会では、担任の先生から普段の子どもたちの様子と違い、非常に集中して考え発言していたとの感想を聞くことができた。
学校の意向で、今回の取組は正式には公開されなかったのであるが、数少ない参加された先生方の中から、今回の鑑賞方法を見て児童生徒の活発な発言や反応に驚いたという感想や、吉野の小学校の二人の先生から、刺激の少ない僻地の子どもたちに是非このような機会をもたせたいので来てもらえないかという要請の声も出て、充実した中で1日目が無事終わった。
オ 「旅するムサビ」との共同授業 2日目 1/29水 宇陀市立榛原中学校
当日は8時30分に集合し、会議室で一日の流れを確認した。今日は2年生4クラスが対象である。昨日と違い、各クラス1時間ずつの全体説明の後、ファシリテーターと共にグループで15分を二回と12分の自由鑑賞の予定である。
昨日は、小学生ということもあり、児童が活発に発言する様子が見られたが、思春期真っ只中の中学生はナイーブなので発言を引き出すことが難しいと予測される。体育館に作品を展示し、学生間での模擬授業を行った。三澤先生から適切なアドバイスが所々に入る。学生たちは、今日の生徒たちとの対話がうまく進められるか心配しながら熱心に模擬授業に臨んでいた。榛原中学校は、今回最も中心になってこの鑑賞授業の推進役を果たされた垣内指導主事の母校でもある。また、偶然であるが現在美術を担当されている北山先生は、奈良芸術短期大学の卒業生でもある。
さて、いよいよ3時間目第1クラスの始まりである。武蔵美のリーダーから、今日のテーマ「見て、感じて、伝え合おう ~対話による鑑賞~」の主旨と三つの鑑賞ポイントが示された。6~7人のグループに分かれた生徒たちは、ファシリテーターに誘導され、それぞれの作品の前に散らばっていった。
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