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ガショウさんの「教えないように、教える」美術教育の実践

ガショウさんの美術教育とテラコッタ造形

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題材6−3「試作箱の制作」

by Gasho 2018-01-13

 紙をうまく加工できない理由として、次のことが考えられる。
① 経験が極端に少ない

② 間違った方法を覚えてしまっている

③ 考えるのが面倒なので、いい加減にしている

④ 体力不足やその他の機能障害で難しい

 この「箱の試作」の課題では、これまで身に付けてきた各技能の習熟度や理解の仕方を総点検しようというもので、それぞれの到達度や状況に応じて不足している事項を学習していくことがねらいである。

 プラモデルの楽しいところは、図面通りに少しずつ組み立てていくと、ある程度の出来映えで完成することであろう。望ましくない点として、みんな同じものになってしまうことが挙げられる。前述の良い要素を生かそうとしたのが、この「箱の試作」である。

 基礎的基本的な技能の習得には、制作工程をマニュアル化すると効率的である。ここでは、全員がある程度の技能レベルに達成できることを最大の目標にし、本気になって「できなかったことを、できるようにする」ための適切な指導が必要であると考えている。

題材の目標

 試作の箱づくりを通して、紙加工の基本となる「折る、切る、貼る」に必要な材料用具の基礎的基本的な使い方を、完全にマスターする。

題材の評価規準

関心・意欲・態度発想や構想の能力
基礎的基本的な材料用具の使い方を取得したいと意欲的である。材料や道具の特性を知り、目的に合わせた使い方ができるようになる。
創造的な表現の技能鑑賞の能力
試作を通して得た技能を、自分の制作に取り入れ、機能的な美しさを追求しようとしている。参考作品に用いられたしくみや工夫から学び、生かそうとしている。

主な学習内容と評価

学習内容(時間数)ポイント評価の観点評価方法材料・準備物等
1 導入 (1)
・1辺10cmの立方体の箱を制作する。

・紙加工の基本となる「折る、切る、貼る」を学習する。
◎全員ができるまで、次の行程に進まないことを約束する。

◎失敗してもかまわないが、どこで失敗したかを考えるようにする。
○基礎的基本的な材料用具の使い方を身に付けたいと意欲的である。
(関心・意欲・態度)
①説明時の観察記録・試作箱の見本
2 「箱」の本体部の制作 (3)
・「箱」の展開図の本体部を参照して、厚紙に寸法を図る。
*「箱」の展開図 参照

・折りしろを付ける。
折り線(図では点線)を、ボールペンなどの滑りの良いもので強くなぞって折り目を付ける。

・曲線を折る。
同様の方法で、曲線や円などの折り目を付けて 折れ方を試してみる。

○「切る」
・カッターナイフとはさみの使い方
*「カッターナイフの使い方 (8つのポイント)」 参照

○「貼る」
・木工ボンドと両面テープの使い方
*「木工ボンドの使い方」 参照
◎展開図をトレースするときは、完成時に内側になるように裏面に書くようにするとよい。

◎折り目をなぞるときは、紙の裏側をなぞるようにすると折り目が破れず、綺麗に仕上がる。曲線についても、是非体験させておきたい。

◎日常では、ほとんど切る作業をカッターナイフで行っている。カッターナイフを使う上で注意したい項目を8つにまとめた。自然に使えるようになるまで、意識して何度も練習させたいところである。

◎「木工ボンド」は、貼り付けてから乾くまでしばらく時間の余裕があるので、位置をずらしたり、張り直したりできる。

◎ 「両面テープ」は、素早い作業や水分を嫌う場合に効果的であるが、原則的に貼り直しができない点に注意させたい。
○参考作品に用いられたしくみや工夫から学び、生かそうとしている。
(鑑賞の能力)

○材料や道具の特性を知り、目的に合わせた使い方ができるようになる。
(発想や構想の能力)

○見通しをもって積極的に制作に取りかかろうとしている。
(創造的な表現の技能)
②制作過程の記録
・ 試作箱の見本
・両面テープ
・はさみ
・ものさし
・カッターナイフ
・カッターマット





3 「箱」の上ぶた部の制作 (1)
・「箱」の柱を立て、上に厚み20ミリの展開図の上ぶた部を参考にして、厚紙に寸法を取る。
◎4つの柱を内側に折り立て、内側にぴったりと合うようにはめ込むため、各辺1.5ミリ程度小さくするとよい。

◎実践では、この展開図の部分は各自で考えさせた。緩すぎたり、のりしろの位置が悪く厚すぎたりするなどの失敗も見られたが、その体験が本制作で生きた。
○本体部の試作を通して得た技能を、上蓋部の制作に取り入れ、機能性を追求しようとしている。
(創造的な表現の技能)
③作品

カッターナイフの使い方(8つのポイント)

 型から入ると、早く効率的にある程度のレベルに達することができる。

① 立って、物差しをしっかりと押さえる。

 利き腕と反対方向の足を少し出して立ち、物差しの中心よりやや上の部分をしっかりと押さえる。立って行うと、動作が安定し力も入りやすくなる。

② いつも同じ場所で同じ方向(上から下)から切るようにする

 切るときに腕やヒジが抜けやすいように、体の中心より利き腕の方向に少しずらして置く。腕はいつも同じ位置になるようにし、上から下へというようにいつも同じ方向で切れるように、物の方を動かすようにするとよい。

③ 手のひらで包み込むようにしてもつ

 小さなものは、小回りがきくようにカッターナイフを鉛筆持ちしてもよいが、大きなものを長い直線で切る場合は、カッターナイフがぶれないように手のひらで包み込むように持つとよい。

④ 切れる刃を使う

 カッターナイフは使っているうちに必ず切れ が鈍くなってくる。試し切りをして切れが悪い 場合は、刃を折って新しい刃に取り替える。

⑤ 刃を二節ぐらい出して切る

 物差しをガイドして切る場合は、2枚ぐらい刃を出して切ると切りやすい。出し過ぎると刃がしなって折れやすくなり、危険である。

⑥ 物差しの斜めの部分を使う

 カッターナイフの場合は、アルミやスチールなどの金属製の物差しを使うとよい。刃を当てて切るので、抵抗の少ない斜めに傾斜させた側を使うと切りやすい。

⑦ 浅い角度で切る

 刺身を切るように、入射角を少なくして切ると綺麗に切れる。特に薄い紙の場合は角度を浅くする。

⑧ 力まず、何度かに分けて丁寧に切る

 少し厚い紙は一度で切ろうとせず、弱めの力で何度かに分けて切り進めていくと綺麗に切れる。最も多い失敗例としては、力が入って物差しがずれてしまったり、切れる前に物差しを外してしまい、度切りになってずれて切れてしまう場合などが挙げられる。

 これらを防ぐためには、弱い力で何度かに分けて切るようにし、途中で絶対に物差しを外さないようにすることである。浅くても、一度溝ができると刃は同じところを通ろうとするのでずれにくいのである。この方法を使えば、相当厚手のものや少々多い枚数でも正確に切ることができ、力の弱い女の人でも楽に切ることができる。

 以上のことを繰り返し練習して反復し、身体が自然に動くようになればしめたもので、カッターナイフを使うことが楽しくなってくる。


アドバイスの仕方とタイミングについて

 自分には無理だからと、初めから考えようとしない生徒がいる。

 ちょっと考えただけで、思いつかないと直ぐに諦めてしまう生徒がいる。

 アドバイスをすると、煙たがる生徒がいる。

 「もうこれでいい」と、大きな声で宣言する生徒がいる。

 オールマイティのアドバイスは難しく、私の場合は大きく次の三つのケースに分けて対応している。

① 技術的な習熟度は浅いが、自ら探求する気持ちが強い場合

 自分だけではどうにも越えられない壁が来るまで、または助言を求めてくるまでは、じっと見守るようにし、余計なアドバイスはできるだけしないようにする。

② 技術的にはある程度のレベルまで達しているが、それ以上を目指そうという気持ちが弱い場合

 その生徒がこれまで知らなかった技術や方法をやって見せ、自分も獲得したいという気持ちを起こさせるようにしたり、うまくいった時を見つけて褒めるようにする。

③ 技術的にも精神的にも問題点が多い場合

 具体的に達成できるよう目標を設定してやるとともに、失敗してもよいことを伝えて気持ちを楽にさせる。

 何よりも、「できるようになることは楽しいことである」という気持ちを、常に指導者自身がもちながら接していくことが大切であろう。また、ときには当初の目標を大きく変更する 柔軟性も必要だと考えている。

*「アドバイスランク」参照

「箱」の展開図


木工ボンドの使い方


自己評価表

カッターナイフの基本姿勢の         頭を使う授業に、みんな真剣な様子
「立つ」を、実践する生徒         
綿密な設計図を書いている生徒         試作箱の構造をアレンジ

材料用具

いつでも使えるようにコーナーを作っている

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