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ガショウさんの「教えないように、教える」美術教育の実践

ガショウさんの美術教育とテラコッタ造形

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題材16「集中力アップ」

by Gasho 2018-01-15

アイドリングと積み重ね

 毎回、授業開始10分間は友達をクロッキーするという実践が小学校で行われていた。まだ授業時間が削減されていない頃で、2時間 連続だからできたのだろうが、手と目と脳を連動させる効果的な取り組みだったと思う。

 さあ、これから楽しい美術の時間だという気持ちの切り替えのためにも、こうした取り組みを推奨したいものである。

マラソンのように徐々に走り出す

 マラソンは自分の限界に挑戦する厳しい競技で、物を創造するときと似ている。単調な走りを黙々と続けているうちに、何かが見えてくる。学校では、時間に追われて結果を早く出そうという焦りが、教員にも生徒にも見られる。

 マラソンのように、じっくりとした取り組みで集中力を高め、確かな表現力を身に付けてられるようにしたい。

題材の目標

 ここで紹介する題材は、初めて高校の美術を受講する生徒に、自分の感覚を研ぎ澄ましていくことの大切さを伝えたくて実施しているものである。また、小学生時代に写実表現へうまく移行できなかった生徒や、思考をともなう課題になると手かがりを見失ってしまう生徒にとっては、表現活動は自分の感覚を確かなものにすることから始まるということを再認識させたい。

題材の評価規準

関心・意欲・態度発想や構想の能力
表現の源になる自己の感性を、一連の作業を通じて研ぎ澄ますことに興味を示し、意欲的に取り組もうとする。線一本にでも、自分の考えや価値観などが表れており、表現技術を高めることが自己の成長にもつながることを知る。
創造的な表現の技能鑑賞の能力
自分の手などの体の一部がスケールの基準にできることを知るとともに、それらを活用することができる。他の生徒との感覚の違いに気づくとともに、自分だけがもっているものを大切にして表現に生かそうとす る。

主な学習内容と評価

課題1 「直径15cmの円をフリーハンドで描く」
学習内容(時間数)評価の観点評価方法
1 直径15cmの円をフリーハンドで描く (30分)
(準備物) A4上質紙1枚、鉛筆、消しゴム
○線一本にも、自分の考えや価値観などが表れており、表現技術を高めることが自己の成長につながることを知る。
(発想や構想の能力)
①説明時の姿勢・態度

②作品
○ルール
・コンパスで描いたような滑らかな1本の曲線になっていること

・消しゴムで何度修正してもよい
○アドバイス
・自分の体の中で、約15cmのスケールになるものを見つけよう。
 ①手を広げて、親指から小指まで(約 20 cm)、親指から人差し指まで(約 15 cm)  
 ②手首から指先まで(約 20 cm)

・紙を、ゆっくり回転させながら見ると形のひずみを見つけやすい。
2 自分の体のスケールを知ろう (10分)
①手のひらと顔の大きさはほぼ同じ

②両手を広げると、身長とほぼ同じ

③1歩の歩幅は何cm

④猫は、体が通れるかひげで計る。

⑤米の水加減を指の関節やくるぶしで計る。
○手などの体の一部をスケールの基準にできることを知り、それらを活用することができる。
 (創造的な表現の技能)
③プリント
3 他の人の円と比べてみる (10分)○他の生徒との感覚の違いに気づき、自分の個性を大切にして表現に生かそうとする。
 (鑑賞の能力)
④鑑賞姿勢
課題2 「線を限界まで引く」
学習内容(時間数)評価の観点評価方法
1 直線をフリーハンドで限界まで引く (40分)
(準備物) A4上質紙1枚、鉛筆
○全神経を集中させ、目と腕と脳を連携させて働かせる。
(創造的な表現の技能)
①説明時の姿勢・態度

②作品
○手順とルール
・A4用紙を縦にし、紙の真ん中の横方向に 1 本の直線をフリーハンドで丁寧に引く。

・次に、その線と上下の辺との中間点に、同じように横方向に直線をそれぞれ引く。

・以降、同じように線と線の間にできた中間点に直線を引くことを繰り返していく。

・7 回目の 127 本をめどに、隣の線に接触しないように慎重に線を引いていく。
 (1-3-7-15-31-63-127-255)
○アドバイス
・姿勢を正し、手や腕がスムーズに動かせる場所を確保するとよい。

・手首を固定してヒジを支点にし、終着点を意識しながら線を引くとよい。

・線が波打ってきたり、接触してきたら休憩をする。

・完成した線の後を観察すると、その時の気分や体調と同期していることが分かる。
2 他の人の線と比べてみる (10分)
・線の濃淡、強弱、間隔からできる模様

・線にもその人の特徴がよく表れる。

・線の集合には、時間も取り込まれる。
○他の生徒との違いに気づくとともに、自分が体験した感覚を大切にし、今後の表現に生かそうとする。   (鑑賞の能力)③鑑賞姿勢

【エピソード】 実際の授業で、普通の授業に全くついて行けない生徒に、この題材を含む特別課題を約3か月間実施したことがある。それから1年後には、ほとんど皆と同じ題材で取り組めるようになった。毎年そういう傾向を示す生徒が何人かいるので、つまづきの状態に応じて「特別メニュー」を作って実施するようにしている。

課題1 作品例と授業の様子

課題2 作品例


①8段階目の255本に挑戦している途中で時間切れになったものだが、相当の集中力が見られる。

②太い線と細い線が混じり、精神的な揺らぎや波があることがわかる。

③普段から集中しにくい生徒で、線の濃淡や乱れがあり、気持ちの揺れが大きいことがわかる。

④ノルウェーから来た留学生であるが、7段階目までの127本の安定した直線を描いた後、同心円に挑戦しかけたもので、相当の集中力が見られる。

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     美術教育の実践
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    • 教えないように、教えるとは
    • 10のポイント
    • 実践事例
    • 資料
      • 1.1時間完結教材
        • 題材15「しりとり絵」
        • 題材16「集中力アップ」
        • 題材17「ピースブロック」
      • 2.役立つ資料
        • 資料1 簡易窯の作り方(2種)
        • 資料2「アドバイスランク」
        • 資料3「作品の保存方法(2種)」
        • 資料4「その他の題材集」
        • 資料5「これまでの研究」
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