年々、子どもたちの想像力が乏しくなっているように感じる。新しいことを考えたり、空想したりする力が弱っている。何かを創造するためには、その前に必ずイマジネーションを働かさなければならない。しかし、想像力がよく伸びると思われる幼児期に、昔話や童話を読み聞かせてもらう機会も少なくなったように思う。
生まれたときから、テレビなどの映像による情報が一方的に入り、頭の中でお話を視覚イメージに置き換えるなどの訓練が不足していることが原因の一つと考えることができる。
一般的に思春期になると、子どもらしい自由な表現が少なくなってくる。そして、自分の作品を批判的にみるだけでなく、自分自身に対しても批判的になる結果、それまでの子どもらしさが消え、概念的な思考をするようになる。そして、子どもの創造性が、急速に変化していく時期でもある。そのとき、知識的なものを焦って子どもに教え込もうとすると、その時期に十分に行わなければならない大切な経験を失なってしまうことになる。
子どもを取り巻く環境などにより、子どもの表現にも、次の三つの大きな傾向が現れてくるタイプに分けられると思われるので、そのタイプを見極め、それぞれに応じた指導方法を用いると効果的だと考える。
① 視覚的にとらえるタイプ | このタイプは、題材が変わっても表現形式がほとんど変わらない特徴が見られる。側面的なところに視点を固定して基底線を設け、空間を広くし、小さめの形態にする傾向がある。また、対象を空間の中で認識するという立場でとらえているようである |
② 感覚的に表すタイプ | このタイプは、直感的で早描きが多く、細部にこだわらず端的に対象をとらえる傾向が見られる。また、ひらめきを呼び込んで表現に生かすようである。 |
③ 装飾的に表すタイプ | このタイプは、常に多彩ですべてのものを楽しく飾ろうとする特徴がある。形態は装飾的な創造の感じが強く表れ、羅列的な描き方となりワイドな表現の傾向が見られる。 |
これらのことを知っておくと、その生徒のタイプに合わない表現を要求することによって生ずる問題や、やる気を失わせる題材設定を避けることができ、生徒の個性に応じた適切な援助ができると考えられる。