PDF版→平成13年度 高学年における「造形遊び」の題材開発 -材料の特徴から想起し、創造的な活動へと展開する題材-
高学年における「造形遊び」の題材開発
-材料の特徴から想起し、創造的な活動へと展開する題材-
研究指導主事 中 川 賀 照
Nakagawa Yoshiteru
要 旨
今回の学習指導要領で改訂された「造形遊び」の高学年への拡充を取り上げ、その経緯と意義を考察するとともに題材の開発を行った。この題材では、身近な材料である木や接着剤を用い、視覚や触覚、臭覚などの多くの感覚を動員しながら、小さな発見や工夫を積み重ねることによって、意欲的な造形活動へと展開・発展することを目指している。
キーワード: 図画工作科、造形遊び、繰り返し試す
1 はじめに
今回の学習指導要領の改訂によって、「造形遊び」が全学年で取り扱われることになった。子どもたちの学習は、新たな発見や課題を見つけ出すような問題解決的な授業の中で行われる。それらの体験的な学習の過程で、子どもたちは身体的活動や生活と結び付いた「知」を獲得することになる。
「造形遊び」は、このような子どもの主体性を重視しようとする教育全体の動向を先取りする形で取り入れられたと考えられる。しかし、学校現場では、これまでの中学年での目標や内容の移行でよいのかという戸惑いもあり、本県においてもまだまだ実践例が少ない。そこで、本研究では材料から想起し、創造的な活動へと展開できる題材を開発することにした。
2 研究目的と方法
(1) 高学年「造形遊び」導入の経緯と現状
(2) 高学年「造形遊び」の指導と評価についての考察
(3) 高学年「造形遊び」の題材開発とその考察
3 研究内容とその結果及び考察
(1) 高学年「造形遊び」導入の経緯と現状
昭和52年の学習指導要領の改訂において、「造形的な遊び」が小学校低学年で位置付けられ、平成元年の改訂では材料を基にした造形活動として中学年でも取り入れられた。そして、今回の改訂によって高学年まで拡大され、これで全学年で取り扱われることになった。
今回の重要な改善点は、造形教育における指導の一貫性を図ることで、低・中学年での「造形遊び」の体験を基に、子どもたちがもてる力を総合的に働かせるようにしたことである。「造形遊び」の内容は、子どもたちが自分の関心などを基に資質や能力を働かせながら、それまでの意味付けや見方などの枠組みをつくったり、つくり変えたりすることであることから、高学年においても必要な内容として設けられた。
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