ア 高学年「造形遊び」の題材例
子どもたちは、内緒の話や秘密が大好きである。そこで、そのような状況を意図的に作ることによって仲間意識が生まれやすくなるように計画した。また、グループ活動での他者評価に加え、ディジタルカメラの活用によって、自己評価に大切な振り返りを容易に行えるように工夫した。
<題材例> 「ひみつ基地」大建造作戦 |
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<準備物> 大量のヒノキの端材(製材所で無料で入手可能)、造形粘土(ここではコルク粘土) 木工用ボンド(速乾性タイプ)、古タオル、ディジタルカメラ、提示装置一式 |
<展開例> 子どもたちの活動 1 「ひみつ基地」の仲間を募る。(3~5人が理想的) 2 自分たちだけの「ひみつ基地」に思いを馳せる。 3 様々な大きさのヒノキ材を木工ボンドで接着しながら組み合わせ、「ひみつ基地」を建造する。 4 「ひみつ基地」を根城にする仲間を、粘土で造形し配置する。 5 他のグループの建造状況を偵察する。 6 「ひみつ基地」を補強する。 7 「ひみつ基地」建造の計画過程や工夫点、協力体制を報告する。 8 他の「ひみつ基地」建造計画に対する評価を行う。 |
<指導上の留意点> ・ 材料の特性を十分に体感できるように、最初からあまり計画を立てさせすぎないようにする。 ・ 子どもたちが自ら工夫できるようにじっくりと待つようにする。 ・ 近くに、ディジタルカメラを固定し、定期的に(3~5分)製作過程を撮影する。(完成まで) ・ ディジタルカメラで撮影した画像を、パソコンのスライドショー機能を使って連続再生する。 |
<題材の評価規準> ・ 造形への関心・意欲・態度… 自分たちでつくりたい場所を見つけ、材料の特徴に興味をもち、選んだ場所や材料とかかわりながら、自らつくり出す喜びを味わおうとする。 ・ 発想や構想の能力… 自分たちが選んだ場所(形、明るさ、広さなど)や材料(形、色、材質など)の特徴をもとに、互いに刺激し合い、新しい発見を積み重ねて発想や構想を広げる。 ・ 創造的な技能… 手などを働かせ、選んだ場所に関係付けて自分なりに材料の形や色、性質などを生かし、繋いだり接着したりしながら視覚的な効果や構成の美しさなどを考え、表し方を工夫する。 ・ 鑑賞の能力… 材料や場所、作品などから美しさを感じ取り、様々な表現に触れ、新たな見方に気付く。 |
<使用する材料・用具の特性> (ア) ヒノキの端材 ・ よい香り、アロマテラピー効果 … ヒノキは、香りの元であるαーピネンによるリラクゼイションに加え、花粉症の原因といわれるハウスダスト、カビなどを除去して室内空気を浄化する効果があるといわれている。 ・ ヒノキチオール(HINOKITIOL) … この含有物は抗菌性が強く、歯科・皮膚関係、頭髪用品、防腐剤、対病害虫、植物生理学などの広い範囲で使われている。 (イ) コルク粘土 コルク樫から取れるコルクを原料とし、ザラザラした手触りとナチュラルな色合いを残しながら、自由自在に形を作れるように粘土状にしたものである。 (ウ) 木工用ボンド(速乾性タイプ) 水溶性の酢酸系合成接着剤である。粘着性が強く、仮止めするだけの時間的な余裕もあるので作業がしやすい。短時間で接着できるので作業効率が良い。 |
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