PDF版→https://gasho.jp/wp-content/uploads/2018/02/H6_PersonalStudy.pdf
教授者から支援者への視点の転換
-生涯学習につながる美術教育を目指して-
研究指導主事 中 川 賀 照
Nakagawa Yoshiteru
要 旨
高等学校において、美術の授業の進め方や題材の設定などに、指導者の意図するところと学ぶ側の興味や関心とのずれを感じることがある。美術による創活動は、生涯を通して親しみ、自らを表現するための一つの手段として位置づけ、それらを達成できる環境づくりと、支援や助言の在り方が大切と考える。だれもが表現することの喜びを互いに認め、感じ合える支援の在り方と教材開発について研究を行った。
キーワード:美術教育、 支援、 生涯学習、 関心・意欲、 発泡スチレンボード
1 はじめに
芸術科の目標は 「芸術的な能力を伸ばし、 美に対する感性を高めるとともに、 生涯にわたって芸術を愛好する心情を育て、豊かな情操を養う。 」 ことにある。生涯を通して、心身ともに豊かな生活を送りたいと願うようになってきた昨今、 図らずもそれが美術教育の目指してきた目標と合致していることは、 この教育の果たす役割と重要性を改めて感じさせる。 特に情操にかかわる教育は、 その指導方法により、 興味や関心の持ち方や主体的に取り組もうとする意欲を育てることと大きくかかわる。
ここでは発泡スチレンボードを取り上げ、興味・関心の多様化した高校生が、素材の持つ新規性と無限の可能性を体験の中から感じ、 意欲をもって創造的な活動を行える教材の開発をしたい。
2 研究目的
(1) 教授者から支援者への意識の変革を図る方途
(2) 多様な発想を呼び起こす教材の開発
(3) 生涯学習に発展する美術教育の在り方の考察
3 研究方法
(1) 全体指導と個別指導における効果の在り方を、 集団心理や個々の精神的な発達欲求の理解を通して考察する。
(2) 発泡スチレンボードを使つた教材の開発と、 それを通して発想が広がり創意工夫しようとする意欲を起こさせる授業展開を工夫する。
(3) 生涯学習を考える上で、 最も大切だと思われる創造的活動へと結びっく美術教育の在り方を、 創造への要求の起こり方から考察する。
– 1 –