4 おわりに
平成25年3月20日に、「教員養成教育の評価等に関する調査研究」フォーラムに参加することができた。これは、東京学芸大学が行っている研究調査プロジェクトで、2010年から4年間の予定で今年が3年目に当たり、各大学で行われている教員養成教育を、それぞれの多様性を損なうことなくネーションワイドに評価する基準と組織の構築を行うことが目的とされている。
2004年の学校教育法の改正により、全ての高等教育機関に機関別認証評価が義務化され、2012年には中教審より「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて(答申)」で、それぞれの大学の特徴がより明確に把握できる客観的な指標の開発等の重要性を指摘された。今回のプロジェクトはそ の流れの中で取り組まれたもので、教員養成教育の質的向上を図るための評価システムの構築によって、大学の特色づくりとともに各教員養成機関との連携をねらいとしている。
教育職員免許法施行規則第二十二条5では、教育課程の編成に当たって、教員として必要な幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮しなければならないとあり、教員養成評価システムの項目として学生が習得すべき知識技能の明確化とともに、教職への意欲や適性の把握を挙げていることに注目したい。
本研究においても、「自他評価システム」を用いて教職への適性を自主的に判断できるようにすることが大きな目的の一つであったが、近年増えている発達障害や学習障害をどう扱うかが難しいところである。今回のフォーラムの中でも取り上げられていたが、これらの障害を教職の適性判断の中に入れるかどうかについてまでは言及されていなかった。
本学の今年度の教職履修者数の変化を見ると、教職説明会への参加者は49名、その約半数の23名が受講を登録、そして前期に7名、後期4名の計11名が辞退し、現在約半数の12名が残っている。辞退者のなかには、単なる低学力だけではない問題を多く抱えており、今後の大きな課題と考えている。
教職履修学生の意欲向上をねらいとして、現在「教職履修カルテ」を役立てているが、今後、教職科目を担当されている教員の方に、評価の際にコメントを付けていただき、それをフィードバックしていきたいと考えている。また、今 回取り上げた「自他評価システム」を「履修カルテ」の中に組み入れることや、学内ネットワークを用い、これまでの紙面による記入・集計ではなく、各自の端末からデータ入力を行い、自動的に集計されるようなシステムを考えてい る。
今後、今回の研究結果を基に、さらに有効な手立てを考えていきたい。
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