ウ 「美術科教育法」への「自他評価システム」の導入
1回生の前期に実施する美術科教育法では、教育課程の意義及び編成の方法、及び各教科の指導法、教育の方法及び技術等(情報機器及び教材の活用を含む)について学習し、学習指導要領中学校美術を教科書として用い、それらの理解を図るとともに、実際に美術の授業を展開できるようになることを目標としている。
主な内容は、自らの目指す教師像を明確にすること、現時点で身に付いているスキルを確認すること、学習指導要領に沿った指導案を作成できること、模擬授業を通して指導に必要なスキルを身に付けることなどであるが、「自他評価システム」をその中の3つの場面で導入した。
第1回目は、中学校学習指導要領の「美術科の目標」について学習する場面で、内容を説明した後、自分なりの要約を行い、それを発表するという流れである。これは、発表スキルの向上とともに学習内容の定着化をねらいとしている。
2回目は、同じく学習指導要領「美術科の内容」での内容の理解と定着を図るためのもので、一定の割り当てられた範囲を、各自が自分の言葉で説明する。学習指導要領に使われている文章や表記に慣れることも、目的の一つである。また、単なる丸暗記ではなく自分なりの解釈で他人にかみ砕いて説明することにより、知識の深化と定着化をねらっている。
3回目は、学習指導案を作成する場面で行った。3~4人のグループに分かれ、学習指導案を完成させる。一人では、それまでの体験や経験だけが頼りとなってしまうので発想が広がりにくい。グループ協議による「3人寄れば文殊の知恵」効果の期待である。
a 「自他評価シート」の使い方
資料2は、「自他評価」の際に用いたシートで、次のような手順で行う。
① 数名のグループに分かれ、発表時に気をつけたい点について話し合い、3つずつ板書する。
② 意味の近いもの同士に分け、全員で3つのポイントに絞る。
③ 発表では、それらを意識してするようにし、各ポイントについて自分も含めて5段階で評価する。
今回は、気をつけるポイントとして、「聞き手の様子を、よく観察しながら話す」「聞き取りやすいように、抑揚をつけて話す」「自分自身が、内容をよく理解して話す」の3つに決まった。
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