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PDF版→ H27年度版 対話による鑑賞授業の広がり -大淀桜ヶ丘小学校への訪問授業を通して-
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対話による鑑賞授業の広がり
-大淀桜ヶ丘小学校への訪問授業を通して-
中 川 賀 照
Nakagawa Yoshiteru
要 旨
昨年度、武蔵野美術大学「旅するムサビ」とコラボする機会に恵まれ、「対話による美術鑑賞」を教職課程で実践することができた。その時参加されていた吉野郡図画工作美術研究会の先生から依頼があり、今年度は本学単独で訪問授業に取り組むことになった。これを機会に、昨年度の課題でもあった本学の教職履修学生のネットワークづくりを進めたいと考えた。ここでは、実施に至った経過やそれへの取組、実際の授業の様子などを振り返りながら、それぞれで得られた成果や課題について考察したい。
キーワード:対話による鑑賞授業、教職実践演習、教職履修学生のネットワークづくり
1 はじめに
帝京科学大学の上野行一教授が、平成20年から7年間文科省の研究助成を受けて実施された鑑賞フォーラムでは、「対話による美術鑑賞」が中心的に取り上げられた。鑑賞授業は、図工美術の教科としての大きな課題でもあるが、その鑑賞方法の一つとして提唱の対話による美術作品の鑑賞は、現行の学習指導要領で重視されている言語活動の充実という観点からも時勢に沿った題材である。
昨年度、武蔵野美術大学「旅するムサビ」との共同授業では、対話による鑑賞授業の手法を学べただけでなく、学生達の様々なスキルアップや教職への意欲の向上面で確実な成果があったといえる。今年度に入り、正式に吉野郡の小学校の先生方から訪問授業の依頼があり、再度これを検証する機会を得ることができた。武蔵野美術大学の取り組み方の素晴らしいところは、学部生だけでなく卒業生をも巻き込んでいる点である。昨年度、本学では教育実習を終えた2回生のみの参加であったが、その枠を超えた広がりが必要だと感じ、今回は単独の実施でもあるので、これを機にOBや他回生にも呼びかけるとともに、各回生にリーダーを置き縦のネットワークを構築したいと考えた。以下に、実施までの様子を報告しながら、今後の最も効果的な取り組み方について考察したい。
2 研究目的と方法
(1) 昨年度の課題を踏まえた取組
(2) 大淀桜ヶ丘小学校での訪問授業
(3) 授業実践とネットワークづくりの成果と課題
3 研究内容とその結果及び考察
(1) 昨年度の課題を踏まえた取組
昨年度の課題の一つとして、鑑賞者の発言の汲み取り方や発想の広げ方があった。昨年度は、途中でそのことに気づき、教職実践演の中で上野行一氏の「発言に対する心構え」ポイントを取り上げたが、今年度は早期にそれらを組み込みたいと考えた。中学生位になるとよほど人間関係が図れているか指導力がないと発言を引き出すことは難しい。しかし、この鑑賞活動をうまく進めることによって、中学生でも思わぬところで心が開く場面が持てるのではないかと期待できる。
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