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a 第1回目 11/1(土) 「新しい鑑賞授業の在り方1」
教職2回生の中学校や高等学校での鑑賞授業の経験は、NHKの日曜美術館のビデオや作家紹介のDVDによるもの、教科書の図版、生徒同士の作品の鑑賞などが主で、定期考査への出題のために行われている場合も多く、「対話による鑑賞授業」の経験はほとんどないのが現状であった。そこで私の方から、これまで行われてきた鑑賞の仕方やあまり広まらない理由などを考えさせた。そして、宮本三郎の『妻と私と』(右図)を題材にして実際に私がファシリテーター役を務めながら「対話による鑑賞」を行って見せた。図版は、図書館の画集からA3に拡大コピーして台紙に貼ったもので、2人に1枚配布した。
まず鑑賞する際の「5つの約束」を説明した後、1分間作品をよく見て感じたことを箇条書きするように伝える。発言させた内容を順に板書しながら、徐々に深めていった。 そして最後に、作者の死後、作者の妻が生前の夫について語った文章を紹介し終わった。みんな、大凡の流れは理解したようだ。
b 第2回目 11/8(土) 「鑑賞模擬授業(教職1回生と合同)」
教育実習の体験を教職1回生に発表する集中講義の中で、教職2回生の学生が、教職1・2回生を対象に「対話による鑑賞授業」を実施した。
鑑賞には、スーラの『日曜の午後』を画集からスキャナーし100㎝×80㎝にプリントしたものを用いた。これは実際に教育実習先の研究授業で使われたもので、本学のデザインコースのプリンターで実費で作成してもらったそうだ。
ここで取り上げたのは、教職1回生に「対話による鑑賞授業」を体験させることが主な目的であるが、教職2回生にとっては2月の訪問授業の練習も兼ねている。25分間の鑑賞では、時代背景や点描などの描写に関する意見や感想などが出され鑑賞が深まっていったが、1・2回生合わせて30名の多数を対象に行ったため全員から発言を引き出すことが難しく、また発言者が偏る様子も見られた。ファシリテーターの経験不足も否めないが、鑑賞を深めるためには10人位までが限界のようである。次回の集中では、2班に分けて進めることにした。
c 第3回目 11/10(月) 「新しい鑑賞授業の在り方2」
今回は、浜口陽三の『壺ととうがらし』の図版を3つのグループ毎に配布し、約25分間の予定で行う。ファシリテーターが発言を逐一板書していったので、間が空いてしまった。発言の深め方や取り上げ方に戸惑いが見られたので、私が何度かアシストしたが、15分も経つと発言が出なくなったので終了することした。
次に、実物作品の鑑賞ということで、私のテラコッタ作品『前へ』を使って鑑賞が進められた。
彫刻作品の鑑賞では、四方から見ることが可能な展示方法を工夫する必要があるが、実際に触れたり、持ち上げて重さを確認したりできることが実物のよさである。
鑑賞は、教卓に置かれた作品を全員が立ったままのスタイルで進んでいった。まず驚いたのは、鑑賞が進むにつれ作者の制作手順や進め方をなぞるような発言がたくさん出てきたことである。鑑賞中に、作者に対する質問が幾つか出たので、最後に私の方から制作過程や作品への思いなどを話すことになった。最後まで立ったままだったので、発言をまとめたり深めたりすることが難しかったようである。
見る場面と考える場面をしっかりと分け、自分の考えや人の発言を整理する時間が必要であることが分かった。事後の感想から、進め方についての不安の声が聞かれたので、前年度用いた上野行一氏の「対話による鑑賞教育」(中学校美術教師のためのガイドブック)Vol.2の第3章授業のポイントを、次回から取り上げることにした。
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