b 主な関係者
・対応 大分県立芸術会館 学芸員 池田隆代氏
・指導 保存修復専門家 高橋裕二氏、近現代彫刻保存修復家 篠崎未来氏
c 保存修復手順
① 洗浄
使用した洗剤はムラテックKDSのシンプルグリーン(SGN-4Lset)で、多目的環境洗剤として市販されており、環境にもやさしい洗剤である。洗浄用具は、写真のような大小のブラシと洗剤を入れる容器である。
脚立に登り、みんなで手分けしてブラシで擦り汚れを浮き上がらせた後、ホースで水をかけ洗い流した。
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② ワックスがけ
水が乾いたら、リグロインで溶いた蜜蝋を刷毛で塗る。垂れないように気をつけながら薄く伸ばすように塗布するのだが、揮発性なのでどの場所を塗ったのかが直ぐに分からなくなってしまう。重複しないように、予め各自の塗布範囲を決めておく必要がある。2回程度塗布するのだが、腐食が進行している所は液の染み込み具合を見ながら、色が落ち着くまで塗布すると良いようだ。
③ 傷の補修・補色
これについては、専門知識がいるので高橋裕二氏がされた。ルーペを使って傷の種類や状態を確認しながら、顔彩等を調合した物をめん棒で慎重に補色される。ブロンズの痛み具合に応じて、様々な材料を工夫すると聞いた。
④ 艶出し
艶出しは、メリヤス布を使うのだが、全体を均一に磨くのではなく、作品のボリュームや質感を考えながら凸部や光沢を出したい部分を適度な力加減で磨く必要がある。この作業は、一人でやる方が上手くいくと思われる。磨き方によって作品の印象ががらりと変わるからである。
佐藤忠良の作品(写真右)は、私が磨かせてもらった。氏の作品が好きで、これまで多くの作品を鑑賞する機会があったが、まさか自分の手で修復保存作業ができるとは思っていなかったので、大変感動した。
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艶出し(ブールデル作品) | 艶出後(佐藤忠良作品) |
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