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ガショウさんの「教えないように、教える」美術教育の実践

ガショウさんの美術教育とテラコッタ造形

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題材5「空想の世界に住む生き物たち」―表現と鑑賞の一体化を目指して―

by Gasho 2018-01-12

 この題材は、身近な自然の素材を使い季節の変化や自然とのかかわりを体感しながら、材料用具の基礎的基本的な扱いや使い方を身に付けられるようにしたものである。

 空想の世界を実現する過程では、パソコン画面を通して客観的に自分の作品と向かい合うことができるので、良いところ、表現の足りないところを見つけやすい。

 また、見ることと作ることを同時に行う活動となり、表現と鑑賞の連携や一体化を図りやすい題材である。さらに手や体を動かして身に付ける体験的な学習と、仮想や空想の世界でイメージを膨らませる想像力を高める学習を結び付けた題材である。

題材の目標

 鑑賞では、互いの作品を気に入ったアングルからデジタルカメラで撮影し合い、言葉ではなく映像で感じたことを伝え合う活動を取り入れた。

 鑑賞では、まず見ることや感じることから始まるが、自分の考えがもてるようになることが最も大切だと考える。作品の題名や作者の名前、時代背景などももちろん大切であるが、自分なりの見方がきるようになることが大切であろう。

 これは、デジタルカメラで行う鑑賞活動をさらに次の表現活動へと発展させ、見て感じることから自分なりの見方ができるように、鑑賞と表現の一体化を目指した題材である。


題材の評価規準

関心・意欲・態度発想や構想の能力
森や神社に出かけ、自然の中にある生命の美しさを実感し、自分の空想する生き物を創造することに興味をもち、意欲的に取り組むことができる。素材の形や材質感から発想を広げ、素材の組み合わせなどを考えて自分のイメージする生き物を創造することができる。
創造的な表現の技能鑑賞の能力
素材の大きさを適切にするための切断や、ほかの素材との組み合わせのための接着方法などの技能を習得しながら造形活動を楽しむことができる。素材の加工や接着などの技能面と、組み合わせや見せ方などの表現技法などに着目して鑑賞するとともに、今後の自分の創作活動に生かそうとしている。


主な学習内容と評価

学習内容(時間数)ポイント評価の観点評価方法材料・準備物など
1 導入例
・「近くの神社や森に出かけよう。自然は季節とともに変化している。小枝や木の実、小石などをちょっと借りて、そこにいるかも知れない、またはいたら楽しいなと思う「生き物」たちを作ってみよう。」

・「そして、できたものを空想の世界に旅立たせよう。普通では行けないところでも、パソコンを使うと可能になる。」

・ 「さあ、自然の中から自分だけの生き物を見つけてみよう。」
○森や神社に出かけ、自然の中にある生命の美しさを実感し、自分の空想する生き物を創造することに興味をもち、意欲的に取り組める。
(関心・意欲・態度)
①説明を聞く態度・作品例
生き物像
風景画像
作品画像
2 活動と制作
①森、神社や林などに出かけ、自然の中にある素材を制作に必要な分だけ拾ってくる。

②視覚や触覚などを働かせながら豊かに発想し、いたらいいなと思う「生き物」を作る。

③作った互いの作品を、気に入ったアングルからディジタルカメラで撮影し、鑑賞し合う。

④撮影した画像を比較して、それぞれの感じ方や考え方の違いを知る。

⑤青色の布の上に「生き物」を置いて、ディジタルカメラで撮影する。

⑥いたら楽しいと思う場所や風景を撮影する。

⑦「生き物」の画像をパソコンに取り込み、風景画像の適したところへ効果的に貼り付ける。

⑧新たに生まれた作品画像に対する自分の思いや効果について話し合い、鑑賞し合う。
○素材の形や材質感から発想を広げ、素材の組み合わせなどを考えて自分のイメージする生き物を創造することができる。
(発想や構想の能力)

○素材の大きさを適切にするための切断や、他の素材との組み合わせのための接着方法などの技能を習得しながら造形活動を楽しむことができ る。
(創造的な表現の技能)
②制作カード

③作品

④画像処理操作
・自然の身近な素材(木の枝、葉、小石など)

・接着剤

・小刀
・加工や接合のための材料用具

・ディジタルカメラ

・パソコン

・画像処理ソフトウェア
3 ディジタルカメラで鑑賞
作品の感想や意見を伝える方法として、言葉や文字などがよく使われる。しかし、今回のような立体作品では、見る角度によって受ける印象も随分異なるので、それらで言い表すことが困難な場合もある。
そこで、デジタルカメラの撮影即再生性、画像データベース作成の容易性を活用し、視覚によって感じたことを視覚で伝える資料1のような鑑賞方法が効果的だと考えた。
*資料 〇自分の見方を画像で伝える 参照
○素材の加工や接着などの技能面と、組み合わせや見せ方などの表現技法などに着目して鑑賞すると共 に、今後の自分の創作活動に生かそうとしている。
(鑑賞の能力)
⑤鑑賞態度・ディジタルカメラ

・感想カード

・ノートパソコン

・画像データベース

題材の特徴

ポイント① 近くの森や神社に出かけよう

 神社や森には、生き物がたくさん住んでいる。海が生命の源ならば、それらをはぐくむところが森かもしれない。

最近、森林浴、緑化と森を見直す風潮が出てきた。「森に住む空想の生き物」を作るために、実際に森へ出かけよう。

今まで気づかなかった生命や、その痕跡と出会えるだろう。

ポイント② 一つの形は、全体の自然と同じ

 森の中にある木や葉には同じものが一つもない。それぞれの環境に合わせて対応した結果としての形を形成している。1つの形が、自然そのものを表しているといってもいいだろう。枯れ枝や落ち葉、木の実、抜け殻、どれも精一杯命を輝かせ次の世代に託して土に帰ろうとしている姿である。

ポイント③ 形から発想する

 自然とともに成長した形は、どれも美しい。必死に生きてきた証だからだろう。それら一つ一つの形をじっくり眺めてみよう。新しく作る生き物の姿が浮かんでくるまでじっくりと見てみよう。

 形から連想してイメージを膨らませてみよう。これまで見てきた何かと重なったり、その形そのものに惹かれて、新しい生き物の種が生まれる。

ポイント④ 自分の見方と他人の見方を比べる

 作った生き物を、森に帰そう。実際に置きに行ってもいいし、パソコンの画像処理ソフトを使って画像を合成してもよい。空を飛ばしたり、水中を泳がせたりするようなことな実際にできそうにないことも、パソコンを使うと可能になる。

 また、ディジタルカメラでお互いの作品の最も気に入った方向から撮影してみよう。それぞれの鑑賞の違いが画像になって表れてくる。

作品例

空想の生き物たち(神社)            空想の生き物たち(公園)

自分の見方を画像で伝える

 写真の撮影のように、一瞬でものをとらえる行為には、案外その人らしさや感じ方が現れるものである。それぞれがとらえた画像を見比べてみると、微妙な感じ方の違いを視覚的に知ることができ、自分だけでは気づかなかったところもわかるようになる。 撮影する側も自分の気に入った角度や部分を選び、それを効果的に表す活動を繰り返し行うことで、ものを深くみようとする意識が働くようになると考える。

Yさんの場合Gさんの場合Nさんの場合
作品1
ここから見ると、どっしりと安定しているように感じる。

腕のようなものが、何かをしようとしているように見えた。

たくさんの足を使って、動いているようだ。

作品2
生き物の表情が、とてもユニークで楽しく感じた。正面から見ると全体の様子がよくわかると思った。斜め下から見上げると、走っていくように感じた。


開発教材の検証

 この題材を大学院生と図工担当教員に検証してもらったので、そのときの感想と作品を幾つか紹介する。

  •  これまでの授業では、時間をかけて鑑賞し合うことがほとんどなかった。この方法では自分がうまく作れなかった作品も違った角度から鑑賞することができ、パソコンの画像処理によって新たな作品に生まれ変わるので、美術の苦手な子どもにとって大変効果的であると思った
  •   つくった生き物を置く場所を考えることで鑑賞が具体的なものになりやすく、それがコンピュータを使うことによってさらに明確になった題材である。
  •   豊かな自然素材、自由な背景の選択、コンピュータの特性などが効果的に組み合わされた題材で、だれがやっても画一的でない創造的な作品づくりへと発展できる。
  •   使用したソフトウェアは機能が絞られていたので、操作方法に煩わされず「鑑賞」と「表現」の活動に専念することができた。実際の材料を使うことと、電子の筆を使うバランスがとれた題材である。
  •   コンピュータの機能だけを用いた作品づくりではなく、自らの手で作った作品を用いることができるという点がよい。頭の中にすばらしい世界が思い描かれていても、それを実現できない生徒にとっても有効であると感じた。
  •   歩いて多神社に出かけて身近な素材を手に入れ、最後にコンピュータを使って完成させた一連の活動が印象的であった。
水洗い場を泳ぐもの            自動販売機の前で並ぶもの
空の雲と戯れるもの           下水道の中を悠々と泳ぐもの

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    • 教えないように、教えるとは
    • 10のポイント
    • 実践事例
      • 1.絵画・工芸
        • 題材1「手作りペン画」
        • 題材2「樹木の細密描写」
      • 2.彫刻・工芸・デザイン・鑑賞
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