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ガショウさんの「教えないように、教える」美術教育の実践

ガショウさんの美術教育とテラコッタ造形

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題材8「コラエンボス」―凹凸を生かした立体版画―

by Gasho 2018-01-13

 コラエンボスは、自然物や人工物をコラージュして組み合わせ、表面の凹凸を写し取って表現する版画である。例えば、木の葉をプレスしてみると、葉の輪郭はもとより、水や栄養素の流れる葉脈が繊細な美しい軌跡として写し出され、小さな木の葉にも自然の法則が宿ることを感じさせてくれる。

 この題材は、プレスすることによって、普段あまり意識することができない凹凸を浮かび上がらせ、イメージを広げていこうというものである。

題材の目標

 テーマに沿って自然物や人工物をコラージュしてプレスし、版にできた凹凸からイメージを広げて自分表したい情景を思い浮かべる。金属のように硬い質感にしたり、パステル調にしたりして凹凸からできる立体感を生かした表現を楽しむ。

題材の評価規準

関心・意欲・態度発想や構想の能力
全身で校庭の自然を感じながら、描きたいものと出会おうとしている。集中して取り組むことができている。感性を働かせて、自然の中の形や色の美しさ を感じ取り、自分なりの表し方を工夫してい る。
創造的な表現の技能鑑賞の能力
自分の好みにあった線が描けるように、ペンを 工夫して作っている。淡彩画における水彩絵の具 の使い方を理解し、自分の表現に合わせて使うこ とができている。制作過程を振り返って自分の表現を見つめ直 したり、展示した作品を鑑賞したりして、次の 制作に生かそうとしている。

主な学習内容と評価

学習内容 (時間数)ポイント評価の観点評価方法材料・準備物等
1 導入 (1)
・版画の種類(木版、エッチング、紙版画等)や特徴について学習する。

・コラエンボスの特徴を知る。

・制作手順を理解する。
◎「コラエンボス」は、「コラージュ」と「エンボス(凹凸)」の合成語である。紙や布などを貼り付けてプレス機で版の凹凸を写し取る。

◎写実力に自信のない生徒も、アイディア次第でユニークな版画ができる。
○版画の一般的な知識を理解しようとしている。物の凹凸や形を生かして工夫することによって、自分の表現の幅を広げられることに気づく。
(関心・意欲・態度)
①説明時の姿勢・態度

②参考作品の鑑賞態度
・参考作品

・教科書
2 アイディアスケッチ (2)
・VTR等を鑑賞しながら、イメージをふくらませ、自分の表したいテーマを決める。

・テーマから連想する言葉を書き、それに合った素材を探す。
◎イメージが広がらない場合は、言葉から連想する方法があるが、貼り付けるものの材質や形から想起する方法も有効である。

◎貼り付ける素材として、実際に使っていていらなくなったものや思い出のものなどを用いると、作品に一層愛着を感じることができる。
○コラージュに使う材料から発想したり、イメージに合う材料を探して組み合わせたりすることによって、表現の可能性を広げている。
(発想や構想の能力)
③スケッチブックへの記入内容・スケッチブック
3 制作 (8)
①画用紙を半分(A4)に切る。

②各自で用意した素材を貼り付け、版を作る。

③刷る数時間前に刷紙を湿らせておく。(刷毛で刷紙の両面に水を付け、新聞紙に挟んでビニール袋に入れて保存しておく。)

④湿らせた版画用紙に、プレス機で刷る。

⑤十分乾燥させてから、好みの彩色を施す。
・金属のように着色する。
  *「金属調液の作り方と塗り方」 参照
・パステルをカッターナイフなどで削って粉にし、綿やめん棒ティシュペーパーで擦りつける。
・水彩絵の具や、アクリル絵の具、ポスタカラーなどで彩色する。

⑥エディションナンバーとサインを入れ、気に入った作品を一点提出する。

⑦作品をラミネート加工し、展示する。
◎のりを十分乾かしておかないと、プレス機で刷り取ったときに張りついてしまう。張りつきが激しいときは、版にニスをスプレーするとよい。

◎専門紙のアルデバランは、厚手で凹凸を綺麗に写し取ることができるが、厚過ぎると破れてしまうことがある。

◎水分を少なくしてかすれるように彩色したり、タンポなどで叩くようにして絵の具をのせて、窪みやエッジをうまく塗り残すと立体感が出てくる。

◎授業では、提出用と自分用として約3枚刷るようにした。エディションナンバーやサインは格好良く入れるようにしたい。4Bの鉛筆で入れる慣習があるようだ。
○版画の基本的なしくみを理解するとともに、コラエンボス独自の技法を習得することで、表現を広げようとしている。
(創造的な表現の技能)

○他の作者の制作意図と作品の効果を参考にし、自分の作品に生かそうとしている。
(関心・意欲・態度)

○素材の特長を生かし、構成を楽しもうとしている。
(発想や構想の能力)
④作品 (観点別)
・テーマからの受け止め方

・構図や大きさ

・材料の組み合わせ方

・総合的な表現技能

・刷り方の工夫

・提出物の提出状況
・厚手の画用紙
・新聞紙
・木工用ボンド
・はさみ
・コラージュ材料 (枯葉やレースのカーテンなど)
・カッターナイフ
・カッターマット
・着色剤(アクリル絵の具、ポスタカラー、水彩絵の具等)
・木工用ワックス又はニス
・アルデバラン(刷り紙)
・パット
・プレス機
・4B鉛筆
・ラミネート
4 鑑賞 (1)
・全員の作品を鑑賞する。

・原版と提出までの試行作品により、それぞれの工夫点を見つけ、感想文やコメントを書く。
◎ラミネート加工しておくと、汚れなくて特別な額も必要ないので展示しやすい。

◎A3までの平面作品の場合はほとんど、この方法で保存したり展示したりしている。
*「ラミネートの活用」 参照
○制作過程を振り返り、自分の表現方法を見つめ直したり、展示作品を鑑賞したりして、次の制作に生かそうとしている。
(鑑賞の能力)
⑤作品の感想文
・作品の感想文の提出

・資料等の収集状況

・発表場面での発表状況

・鑑賞の姿勢
・感想カード

コラエンボスとコラグラフ

 コラエンボスの名称は、コラグラフと同じコラージュ技法を略した「コラ」と、エッチングプレス機で物の凹凸の「エンボス」を写し取ることから命名した。

 光の当たり具合や、描画材の着彩の仕方によって、表面のわずかな凹凸が変化し、レリーフのように立体的に見えたり、深みが出たりする。

 あまり濃く彩色せず、本来の紙の美しさを生かし、かすかな光の揺らぎによって変わる陰影を楽しむ方法や、紙を金属のように見せる方法、淡いパステルカラーでほのかな彩りを感じられるようにする方法などが考えられる。

金属調液の作り方と塗り方

【準備物】

・金属粉(銅粉、真鍮粉、鉄粉など)

・腐食液(塩化アンモニウム、硫化カリ)

・木工用ワックスまたはニス着色剤(アクリル絵の具、ポスターカラー、水彩絵の具等)

・木工ボンド

① 木工ボンドに、金属粉と着色剤を入れてよく掻き混ぜる。

 (ブロンズ調にする場合は銅粉、鉄さび調は鉄粉、真鍮調には真鍮粉を入れる。)

 (着色剤は、地色として用い、腐食させたときに深みを出すために使う。)

 (金属粉と着色剤の使用量は、試液を作って好みの色になるように調整する。)

② 水を入れ、なるべく泡立たないように攪拌し、ソフト状になる程度に水を調整する。

③ 刷り上がった版紙に、筆や刷毛で液を 薄くのばしながら1度塗る。

 (溜まりができないようにする。)

④ 手に付かない程度に乾いたら、もう一度むらなく塗る。

⑤ 乾燥してから、腐食液を筆や刷毛で液を薄くのばしながら塗る。

 (緑色の発色には塩化アンモニウム水溶 液、鈍い茶色の発色には硫化カリ水溶液)

 (水溶液の濃度は、温度や塗る量によって 違うので、試紙で試しておく。)

⑥ 光沢と腐食止めを兼ねて、木工用ワックスで磨くかニスを塗る。

コラム5 実際にやって見せる >

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    • 実践事例
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