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ガショウさんの「教えないように、教える」美術教育の実践

ガショウさんの美術教育とテラコッタ造形

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題材6−1「テラコッタ粘土によるランプシェードの製作」

by Gasho 2018-01-13

題材の目標

 テラコッタ粘土やセメントなどの本物の材料を用い、制作を通してその性質を理解しながら、生活にぬくもりを感じさせてくれるランプシェードを作る。

題材の評価規準

関心・意欲・態度発想や構想の能力
ランプシェードに関心をもち、自分から進んで資料を調べようとしている。ランプシェードから感じる感覚を大切にし、それらの特性を自分の作品に生かそうとしている。
創造的な表現の技能鑑賞の能力
粘土の扱いや素焼きの基礎的な知識を理解し、資料を参考にして、自分の作りたい形に適したランプシェードの組み方を考えたり、作る中で発見したりしながら、造形を楽しんでいる。距離を置いて自分の作品を眺めてみたり、他人の意見を積極的に聞いたりして、表現したい感情が表れているかを検証するとともに、他の人の作品の成功例から学ぼうとしている。

主な学習内容と評価

学習内容(時間数)ポイント評価の観点評価方法材料・準備物等
1 導入(1)
ランプシェードの機能を知り、作りたいもののイメージを広げ、アイデアスケッチをする。
・安定して置ける形にする。

・光の影を効果的に作る。

・ランプコードが通る穴を開ける。

・パーツの形と必要な数を考える。

・パーツの接着面を大きくして丈夫にする。
 *「アイディアスケッチ用のプリント」 参照
○煉瓦の建築物や形物に関心をもち、自分から進んで資料を調べようとしている。
(関心・意欲・態度)
①説明時の姿勢・態度・アイデアスケッチ用プリント・煉瓦建物に関する資料

・教卓のパソコンと提示装置

・アイディアスケッチ用プリント

・パソコン、提示装置
2 制作(10)
テラコッタ粘土を用い、しっぴきやタタラ板を使って、アイデアスケッチを基にパーツを作って焼成し、接着する。
*「ミニ煉瓦の作り方」 参照

*「焼成」 参照

*「適した接着剤」 参照
○粘土の扱いや素焼きの基礎的な知識を理解し、資料を参考にして、自分の作りたい形に適した煉瓦の組み方を考えたり、作る中で発見したりしながら、形を楽しんでいる。
(造形的な表現の技能)
②活動状況1
・テラコッタ粘土

・陶芸用具一式
(タタラ板、シッピキ、手板、タッパー、めん棒、粘土ベラ等)
3 発展(3)
制作が進むにつれ、新しい積み方や組み方を見つけだすこともあるので、あまり元のアイデアスケッチの形にこだわらず、どんどん改善・変化していくように助言する。
*「学習意欲を高める作業性を重視した造形活動」 参照
○煉瓦の形物から感じる例えば堅牢性や構築性などの感覚を大切にし、それらの特性を自分の作品に生 かそうとしている。
(発想や構想の能力)
③活動状況2
・接着用具一式
(粘土、木工ボンド、つまようじ、タッパー等)
4 鑑賞と発表(1)
・この鑑賞を通じて感じたことや考えたことを話し合い、発表する。
・他のチームの発表を聞いて、評価する。
*「準備物と保管風景」 参照○距離を置いて自分の作品を眺めてみたり、他人の意見を積極的に聞いたりして、表現したい感情が表れているかを検証するとともに、他の人の作品の成功例から学ぼうとしている。
(鑑賞の能力)
④提出作品
・コメント用紙(感想文)
・持ち帰り用パッケージ
・ コメント用紙

・ パッケージ用具一式
(カッターナイフ、はさみ、段ボール、ガムテープ、ビニール袋等)

※ 多くの生徒が鑑賞できるように、デジタルカメラで多方面から撮影した画像をGIF形式で保存し、常設パソコンでスライドショー展示する。

*作品の保存方法(2種) 参照

学習意欲を高める作業性を重視した造形活動

 各自が、いろいろと組み合わせを試しているうちに、これまで思い付かなかった方法を見つけられることがある。それが他人にとっては常識的なことでも、本人には新たな発見であり、大きな喜びである。自分で見つけられたことがうれしいのであり、そのような体験を通して理解し身に付いたことは、生涯を通して生きて働く力となる。

 このような経験の積み重ねによって、自分にもできるという自信が生まれ、次へのチャレンジへとつながっていく。この材料には、そのようなプラスサイクルへの展開の可能性を秘めている。

 学習者が学習を進める上で最も重要なことは「学習意欲の高まり」であり、高浦勝義・奈須正裕の「生きる力」を育てる新しい授業NO. 3意欲を高める授業を参考にして、次のような七つの観点を考えてみた。

 煉瓦という新しい材料を用いることにより、

① 好奇心を刺激することができる

 煉瓦は縦、横、厚みが1対2対4の比率というシンプルな形要素で構成されているので、それらの組み合わせを考えることに集中すればよく、自分にでもできそうだという安心感をもって入ることができる。また、作業が進むにつれて、強度や組み合わせの美しさなど各自が工夫できる要素が自然と多くなってくるので、

② 自己決定の機会を増やすことができる

 さらに、個々の制作意図に合わせた個別の指導が容易であり、

③ 努力が報いられる学習環境づくりができる

 また、段階的な目標を設定し手の届く、

④ 実現可能な目標を設定することが可能

 な題材である。

 あるいは、「一人学び」など、学習の仕方を経験的に学べる場を授業の中で計画的に作ることにより、

⑤ 学習方法を身に付け、自己の学習の進度を客観的に認知しながら進められるようになる

 ことが期待できる。

 グループでの鑑賞活動や制作を通して、学んだことを人に伝えたいという伝達衝動や、他人の知っていることを学びたいという共有意識を生かした学習を進める中で、

⑥ メタ認知や

⑦ 個性的追究を支え合う仲間づくりを育てる

 ことができる題材であると考えている。

(1) しっぴき・たたら板、カッターナイフによる方法

① 手板の上に、約3cm厚の粘土を置き、その両側に7mmのたたら板を各4枚挟んで置き、麺棒で平らにする。

② たたら板を1枚ずつ外し、しっぴきを両手の親指とたたら板の上をしっかりと密着させてスライドさせ、粘土を切り取る。同様の動作を3度繰り返し、4枚の粘土板を作る。

各2枚ずつを図のように手板の上に置き、その両側に5mmのたたら板を1枚ずつ置く。麺棒で平らにして5mm厚の粘土板を作る。

③ 垂直水平になるように気をつけ、1cmと2cmの目盛りを記し、たたら板を当て、それに沿ってカッターナイフで押し切るように粘土を切る。(強く引いて切ると、角が引きつられて変形してしまう。) 切りくずの粘土は集めてジッパー袋に入れ、次の板づくりの際に再生する。


(2) 針枠による方法

写真のような木枠と、5mm間隔と1cm間隔に針を埋め込んだ渡し木を作る。5mm厚の粘土板をタタラ板と麺棒を使って作り、 木枠の内側に置く。

渡し木をスライドさせ、目的の寸法に裁断する。乾燥させてから焼成する。


(3) しっぴき、たたら板による方法

① 二人一組になって、25×33cmの手板に約3cm厚の粘土を置く。

その両側に5mmのたたら板を各6枚挟んで置き、麺棒で平らにする。

たたら板を1枚ずつ外し、しっぴきを両手の親指とたたら板の上をしっかりと密着させてスライドさせ、粘土を切り取る。

粘土を重ねたままさらに1枚ずつタタラ板をはずし、しっぴきで粘土を切る。同様の動作を5度繰り返し、6枚の粘土板を作る。

② 粘土を縦に置き直し、両側に5mmのタタラ板を粘土の高さまで積み重ねる。タタラ板をそれぞれ2枚ずつ取り外し、厚さ1cmになるように粘土をしっぴきで切る。同様にして、最後まで粘土を切る。

③ 粘土を横に置き直し、両側に5mmのタタラ板を粘土の高さまで積み重ねる。タタラ板をそれぞれ4枚ずつ取り外し、厚さ2cmになるように粘土をしっぴきで切る。同様にして、最後まで粘土を切る。少し乾燥させてから、割り分けてから乾燥させ焼成する。


その他の技法 (透かし彫り)

たたら板を使って粘土板を作り、針で模様を切り抜く。

切り抜いた部品も有効に使うとよい。


焼成

大型電気窯 ― 全員の分を焼成する場合

棚板1枚に棚柱などで4つに仕切り、それぞれに一人分の煉瓦を入れて約940度で焼成した。

その際、生徒各自に学級・番号・氏名が刻まれたプレートを作って入れておくようにする。

七宝焼き窯 ― 追加部品をその都度焼成する場合

作品づくりを進めていくと、部品追加が必要になることがある。少量を適宜焼成できるように、七宝焼き用の窯を使って焼成する。

この窯は、1,000度位までの焼成ができる。

生徒の目の前で、焼成時に粘土が真っ赤になっていく様子などを、実際に見せることができるので、焼き物に対する興味付けになる。


準備物と保管風景

写真左は、タタラ板、麺棒しっぴき、カッターナイフなどの準備物である。必要なときに使えるようにコーナーを設けている。

写真右は、制作途中の作品や乾燥の場所の様子である。


用途に応じた接着剤を使う

〈セメント〉 安価で耐久性・耐水性に優れているが、硬化に時間がかかり、後始末が大変である。

〈木工ボンド〉 比較的安価で作業しやすいが、熱で柔らかくなり、また長時間の耐水性に欠ける。

〈シリコンゴム〉 比較的安価で作業しやすく、耐熱性・耐水性に優れており、弾力性がある。

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    • 10のポイント
    • 実践事例
      • 1.絵画・工芸
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