e 第5回目 12/7土 鑑賞模擬授業(教職1回生と合同)
2回生の介護等体験3人の発表及び3班に分かれた1・2回生の交流会の後、2タイプの「対話による鑑賞」を実施した。
一番目は、シャガールの『私と村』である。これは、教育実習の研究授業で実際に使われたもので、今回は1回生11名を対象に行った。第1回目の模擬授業の際に私が例として取り上げた時と同じように、最後にファシリテーター役が作品の解説までしてしまい、例示の難しさを思い知らされることになった。
二番目は男子学生の作品で、洗面台の水道の蛇口から少しずつ流れる水を細密描写した油彩画である。最初は、巧みな描写に話題が集中したが、そのうち、これがトイレの中ではないかということになり、何故この場所を選んだのだろうかと作者の心理に迫っていった。作者からは、作品を描いた時の心境や静かで人が来ない場所を選んだこと、節水のために水を描写する時だけ流したことなどが語られた。
2つの鑑賞が終わり、まとめを兼ねて一回生に小学校から高等学校までに受けた鑑賞授業について尋ねた。11名中3人が既に高等学校でこのような授業を受けており、熱心な先生方が既に取り組み出されていることが分かった。また、この模擬授業を受けた感想を聞いたところ、「他の人の意見の影響を受け、見方が深まった」「いろんな見方をしても良いのだと気づいた」など、効果的な反応を見ることができた。
f 第6回目 12/9月 模擬授業(対話による鑑賞)3
前回の鑑賞者の振り返りから、ファシリテーターとしてみんなの発言を分類したり、まとめたりすることの難しさについて記述されたものがあった。そこで、上野行一氏の「対話による鑑賞教育」(中学校美術教師のためのガイドブック)Vol.2の第3章授業のポイントを、毎回冒頭で取り上げていくことにした。今回は、次のように「発言に対する心構え」についてであったが、メモを取りながら熱心に聞く様子を見て、学生達が差し迫った課題になっていたことに気づかされた。
1 発言に対する心構え
・発言を引き出す上手な聞き方 「うなずき」「ミラーリング」「繰り返し」
・意見をほめる
・小まとめ
続いて、ティチャーズキット①小学校(3・4年)用の中から、トム・ウェッセルマンの『浴槽コラージュ』を鑑賞した。このキットは、DVDをパソコンに入れて再生し、プロジェクターでスクリーンに投影する方法で行う。スクリーンの前の電気だけを消し、鑑賞者の発言を板書できるようにした。作品は、人物や風呂タブがコラージュされ、実物のカーテンが貼り付けられており、カラフルな色で色面構成された油彩である。泡立ったバスタブにつかりながらレトロな受話器を持って電話をかけている女性の姿からは、20世紀後半のアメリカの生活を想起させる。
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